悲しみは海より碧く、深く〜suicide story〜

父の自死。私の人生。新たな命。苦悩、喜び、葛藤、そして生きるということ、死ぬということ。

大切な後輩の自死

私は父以外にも、親しかった後輩も自死で亡くしました。

 

父の自死から2年後くらいでした。

私が部活に勧誘し、私のもとで育った後輩でした。

 

とても生意気で、態度もでかく、口の利き方も悪く。

しかし礼儀を守るべきところではしっかり守り、先輩を立てるときにはしっかり立て、裏表のないとても気持ちのいい後輩でした。

 

彼が自死したのは彼が卒業して4年後くらいでした。

派遣で働き、正社員になれるという約束のもと頑張っていたのに、その約束を反故にされ打ち拉がれ命を絶ったという話でした。

 

私が卒業してからも、後輩が卒業してからも、部のOB会で年に1回は顔をあわせお酒を酌み交わしていました。

そんな後輩から、そういった類の相談は一度もされたことがありませんでした。

 

学生時代は何でも話してくれ、主将であった私によく相談に来ていました。

 

そんな後輩の訃報。

そしてこれは部には公表せず、部内でも監督と数人の幹部しか知らせないというものでした。

 

向こうの親の要望もあったとのこと。

葬式も密葬だったので誰も行くことはできませんでした。

 

後輩の死は、何一つ実感のないまま、後輩がいないという状況だけが続いているのです。

部のOB会は相変わらず年1回あるので、どうしてあいつが来ていないのかと知らない部員は疑問を持ちます。

 

死んだことすら知らされていないのです。

全てを内密にし、彼の生き様自体を隠す。

 

最後には苦しみ、不覚だったかもしれない自死

しかしそれだけで彼の生きていた証が抹消されている。

それはともて苦痛です。

 

誰からも人気があり、彼は自身の後輩からもとても慕われていました。

誰もなにかを憚って口にしない。

 

思い出としても話せない。

人は思い出の中からも消えてしまったら、それが本当に死なのだと思います。

 

私は彼の話をしたい。

飲みながら昔話に花を咲かせ、とことん仲間たちと涙を流したい。

 

未だに彼の屈託のない笑顔が忘れられません。