悲しみは海より碧く、深く〜suicide story〜

父の自死。私の人生。新たな命。苦悩、喜び、葛藤、そして生きるということ、死ぬということ。

「迷惑」って一体なんなのだろう?

子供の教育方針で「迷惑をかけない」ということを言う人が多くいます。

とにかく人様には迷惑をかけるなと。

 

でも「迷惑」って一体なんなのだろう?

人が嫌がること?

公共のルールを守れないこと?

 

でも人が嫌がることってあまりに抽象的でわかりません。

しかも人によって嫌がることは変わってきます。

 

煙草の煙は臭いし体に害があるから迷惑と言いますが、では香水はどうでしょうか。

その人にとっては心地いいかもしれませんが、強烈な匂いを不快に思い、また体調を悪くする人もいるでしょう。

 

私は目の前で納豆を食べられるとともて嫌です。

幼少期にアメリカにいたからか納豆の匂いにいまだに慣れません。

アメリカ人でも納豆を好きになる人はいますが、たいていの人は最初はその匂いに驚くに違いありません。

私はしばらく食べ物と認識できないくらいの衝撃を受け、目の前で食べられると一切の食事ができないくらい体が拒否していました。

 

私にとってはとても迷惑でした。

 

公共施設でのベビーカーはどうでしょうか。論争がいつでもでてきます。

きっと赤ちゃんは抱っこできるのに大きなバギーで混雑している駅を使うことが多くの人も癇に障るのでしょう。

たしかに我が物顔で、「こっちは子育てしてるのよ」と言う顔で爆走しているベビーカーもあり、それに一回でも出会った人は以後ベビーカーの印象は最悪になるでしょう。

 

話を戻します。

例えば電車内での化粧は迷惑行為とされています。

確かに見てて不快です。これを肯定する人は、隣でおじさんが鏡を見ながらピンセットで髭を抜いていても不快とは言っては駄目ですね。同じ身支度の行為でどちらも直接誰かに迷惑はかけていないのですから。

 

ご飯をくちゃくちゃ食べる人がいます。

行儀が悪い行為です。日本では肘をついたり犬食いも行儀が悪い行為です。

そして行儀が悪い行為は公の場では多くの人を不快にします。

つまり行儀が悪いことも迷惑行為に繋がります。

「迷惑をかけるな」とは、このような礼儀作法も正しく行わないといけません。

 

他者のマナー違反に対して厳しく追及する人もいれば、人は人と目くじらを立てない人も多くいます。

 

当然各自治体の条例で制定されている迷惑防止条例に違反すると処罰されますが、これはほぼ法的にギリギリの行為です。法的にはグレーなので各自治体で条例を制定しているです。

 

東京都の迷惑防止条例の場合は、「ダフ屋行為」「つきまとい」、「座席等の不当な供与行為」、「粗暴行為(ぐれん隊行為等)」、「押売行為等」、「不当な客引行為」、「ピンクビラ等配布行為」が迷惑行為として定められています。

違反した者には、「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が科せされます。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

 

英語で迷惑は、「trouble」、「annoy」、「bother」、「nuisance」、「irritate」 が当てはまります。しかしこれらは日本語の迷惑を表すというより、問題を起こす、苛つかせるなどの意味になります。

 

しかし「他所様に迷惑をかけるな」というものはもっと基本的なことを言っているのでしょう。そしてさらに日本独自の空気を乱すな、和を乱すなと言う意味が多分に含まれているはずです。

 

相手次第で「迷惑行為」というものは際限なく広がっていきます。

テレビのお笑い番組ですら、下品、いじめを助長する、暴力的で子育てに迷惑だとクレームを付ける時代です。そのクレームもテレビを楽しんでいる人たちにとっては迷惑以外の何ものでもありません。

 

 日本での「迷惑」とは、「相手を思いやる」とは似て非なるものです。

相手ではなく、「自分が嫌だから」というあくまでも自己中心的なものだと思います。

だからとにかく相手の非ばかりを叩く。自分の非はごまんとあるのに、あたかも自分は聖人君子であるかのように。

 

「他人に迷惑をかけるな」

これは自分は迷惑はかけているが(認識なし)、とにもかくにも第三者がかける迷惑は絶対に許すまいという精神へと変貌しているのです。

 

自分も誰かの迷惑に必ずなっているのだから、他者の迷惑にはなるべく理解を示そう。

こっちのほうが真のような気がします。

 

空気は読み取るのに他者の思いへの想像力乏しい日本人には無理かもしれません。